椿姫

美しき運命の傷痕の椿姫のレビュー・感想・評価

美しき運命の傷痕(2005年製作の映画)
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男が出所したところから始まります。
巣から落ちた憎々しいカッコウの雛を救い上げて巣に戻して立ち去ります。
彼が次に登場するのは映画の最期の部分で、冒頭のシーンから繋がって家に入っていきます。
この男が姉妹の父親だと分るのはオレンジ色の袋を持っているからです。それも遠景です。
くどく説明をしない映画で、解らない人は置いていく方針らしいです。DVD でよかった。
夫の無実を信じようとしない毒妻は王女メディアに例えられています。
三人の姉妹が父の悲惨な最期を見たから今も不幸せだという論法はよくわからない。
わずかに三女が父親と同世代の教授を追いかけていることくらい。
映画の前半は台詞はないし画面は暗いし何のことかさっぱりわからない。我慢して観ていると俄然面白くなります。
この映画は父親喪失ではなくて毒母に育てられた母親喪失の物語であることに気が付くと、子育てをしないカッコウや三女が語るメディア姫の話の意味が分かります。大女優が出番の少ない母親役で出ていたことにも意味があります。
父の疑いが晴れて喜び勇んで報告に行った娘たちに「私は後悔しない」と言い放つ母の恐ろし気な言葉でジ・エンドでした。どこまでも毒母です。
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