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昭和歌謡大全集のvivoのネタバレレビュー・内容・結末

昭和歌謡大全集(2002年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

この物語の若者とおばさんの共通点は、今を生きていないこと。象徴的に使われる昭和歌謡は、おばさんにとっては自分の若かりし頃の象徴であり、若者にとっては自分たちが知らないかつての若かりし日本の象徴。で、このおばさんと若者が、充実感の虜となって復讐合戦を繰り返すのだが、それはまさに究極の現実逃避。目前の現実の濃度を無理やり高めることで過去より現在が充実していると錯覚する行為から抜けられなくなるのだ。そして、おばさんと若者の違いは最後に訪れる。それなりに人生経験を重ねたおばさんには、心地よい現実濃度、帰るべき濃度があり、若者にはそれがない。だから、若者たちは決して満たされることなく、満たされない世界に破壊願望を抱く。ラストに頭をよぎるのは、全てが破壊された後の何もない状態こそ創造作業による充実感を得るのに格好だという皮肉な事実。
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