アキラナウェイ

コックと泥棒、その妻と愛人のアキラナウェイのレビュー・感想・評価

4.2
ぬおおおおおお!!
何とまぁ、これはおセンスの塊だ。

「部屋とワイシャツと私」みたいなタイトル(全然違う)に惹かれて観たら、アクの強い映像美にノックアウトだこのやろー。

ピーター・グリーナウェイ監督・脚本。

大泥棒のアルバート(マイケル・ガンボン)は、今夜も自らが経営するフレンチ・レストランに、取り巻きの子分と妻のジョジーナ(ヘレン・ミレン)を連れて、我が物顔で尊大な態度を取っている。夫からの粗暴な扱いに嫌気が差していたジョジーナは店の常連である、本屋で学者のマイケルに心惹かれるようになり—— 。

マイケル・ガンボン。
「ハリー・ポッター」のダンブルドア役で知られ、「キング・オブ・シーヴズ」も出ていたゾ!?今やすっかりお爺ちゃんだけど、1989年公開の本作では、恰幅の良い体型。

アルバートの下品で傍若無人な言動には辟易してしまうけど、それだけイラつかせるというのは演技が上手いって事。トイレから戻る妻に「尻はちゃんと拭いたか!?」とかレストランで声を荒げないで欲しい。

そして、何と言ってもヘレン・ミレン。

えーと。
劇中7割ぐらい脱いでいた印象。白く美しい肌に目を奪われる。店内でも大胆におセックスをキメまくる。

レストラン、調理場、店の外と横移動が続く構図。

レストランは赤
調理場は緑
トイレは白。

照明の色も変わり、登場人物達の衣装の色も変わる。特にジョジーナのドレスのデザインが素敵。

レストランを訪れる度に、愛人マイケルとの情事に耽るようになるジョジーナ。しかし、いつまでもアルバートにバレない訳もなく…。

繰り返しリフレインする音楽がクセになるし、強烈な色彩感覚、猥雑としたキッチン、天使の歌声を聴かせる少年、野良犬達。全てが強烈なインパクトで、それは強力な引力となり、観ている者をぐんぐん惹き込んでいく。

遺体をそのまま料理にした遺体盛りの造形がお見事。

これはキョーレツでサイコー。

映像は暴力だ。