ピーター・グリーナウェイ監督作品。
知ってはいけない世界を知ってしまった。なんだこのイメージは。
資本主義社会のきらびやかさ。
オーナーらは金をもっていて、荘厳な内装のレストランを経営し、大量にシェフやウェイトレスを雇って、豪華な食事を貪っている。贅沢の極み。しかし彼らは下品な会話しかできないし、食事のマナーはなってない。彼らの贅沢の根源は暴力と犯罪で、その果てにあるのは下品で汚い様相のみだ。もはや羨ましくもない。なんという皮肉でしょう。
妻は不倫という禁忌を犯す。それも本を愛する男と。その動機も気持ちも分かる。もはや金などどうでもいいのだ。金になる贅沢のくだらなさに飽き飽きしているから、彼女は禁忌を犯すのだ。その官能は甘美だ。けれどその「贅沢」の果てには何がある?
妻の「贅沢」は夫の暴力を駆り立てカオスと化す。そして妻と夫も禁忌を犯す。
救済はここにない。私たちはこの世界をどう生きたらいいのだろう。
徹底的なアイロニーと舞台芸術の崇高さがグリーナウェイの作家性なのだろう。私はグリーナウェイを知ってしまった。もう知らなかった自分には戻れない。ならば徹底的にグリーナウェイを知るしかない。