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折鶴お千のkogureawesomeのレビュー・感想・評価

折鶴お千(1935年製作の映画)
5.0
サイレント映画。
泉鏡花原作。

持ってかれる。
この映画に鷲掴みにされた。
ストーリーは悲惨な人情噺というような暗い話だが、

セット、照明、エキストラに至るまですべての役者が印象に残り、画面に映っていないフレームの余白まで想像力をかき立てられ、緊張感がある。カメラが動く時、ここまでしか映らないからいいや、という感じでは無く、どこが映ってもいいくらいにまわりも作り込んでいる雰囲気が画面に張りつめている。
光と影、強く光があたる部分と、影になって見えない部分のコントラストが強烈。

特に印象に残るのは冒頭の神社の回想と雨が降る駅で電車を待つ現在がカットバックするシーン、主人公二人が熊沢たちを裏切るシーン、
お千が折鶴をふっと息を吹いて飛ばすシーン。
それから撮影当時17歳だった山田 五十鈴の怖いような凄味のある演技だ。
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