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ゾンビ/米国劇場公開版のHIROのレビュー・感想・評価

ゾンビ/米国劇場公開版(1978年製作の映画)
4.3
ゾンビが大量発生した街から離れたスティーブンたちは、巨大なショッピングモールに立てこもっていたが、日ごとにゾンビが建物の周辺に集まり、侵入を始めてきてしまうお話。

やっと観れたロメロのゾンビ三部作第二弾。
バラバラになってしまったけど、三部作コンプリート完了(≧∇≦)

さすがロメロ、風刺の効いた映画でした(>_<)

ホラー映画だと思っていたけど、実際はとても静かで演出がとても独特。
ゾンビという恐ろしい怪物が現れるのに、とてもマヌケな音楽を使っている。
世界の終焉は凄惨な感じではなくて、実はこんな何気ない感じでやって来るのではないかということがロメロは言いたかったのかもしれない。

公開当時のアメリカではちょうどショッピングモールが出来始めた頃で、それまであった街の小売店は次々と潰れていき、用もないのにショッピングモールでウロウロする人々が増えていたらしい。

ロメロからしてみれば、こういう人々がまさにゾンビそのもので、このままだと文明が崩壊してしまうのではないかと危惧していたのかもしれない。

ショッピングモールに立てこもっていたスティーブン達は商品を次々と取り込んで行く。
終盤に暴走族集団が現れたことで今まで保たれていた調和が一気に乱れ、崩壊していく。
商品や金銭を盗み出し、ゾンビ達を容赦なく殺戮していく。
これはまさに、貪欲で腐敗した消費社会の縮図。

この腐敗しきった世の中はこのまま行くと崩壊してしまうのではないかということを上手く風刺していたと思う。

実はかなり深いロメロ作品。
政治的な風刺をゾンビ映画に自然に取り入れるところはかなりの力量だと思う。

間違いなくゾンビ映画最高峰の作品でした!
"ホラー作品"というよりもちゃんとした"映画作品"。
ホラー映画が苦手な人でも観てほしい作品です!
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