あしたか

素晴らしき哉、人生!のあしたかのレビュー・感想・評価

素晴らしき哉、人生!(1946年製作の映画)
4.5
[あらすじ]
善良な住宅金融会社社長ジョージ・ベイリーは、人生に絶望し、橋の上から身投げしようとしていた。そこへ、天使を自称する奇妙な老人が現れる。「生まれなければよかった」と嘆くジョージに、天使は彼が生まれてこなかった世界を見せるが…(U-NEXTより)


「友ある者は敗残者ではない」


オチの圧倒的感動の為に尺のほとんどを壮大な前振りとして使う映画。
しかしその前振り部分も素晴らしい。

人間、生きていると絶望を感じ死にたくなる時も多々ある。
しかし、登場人物の天使はその決断に待ったをかけた。「お前の人生は本当に途中で諦めるべきものか?」と。
不思議なもので、人間はささやかな喜びにはすぐに慣れていくくせに、ささやかな寂しさや苦しさにはいつまでも敏感なままだ。天使は、ジョージが生まれてこなかった悲しい世界を見せることで、そのささやかな喜びの部分を我々に思い出させてくれた。

後悔や悲しみ、悪行は確かに簡単に消えるものではないが、喜びや幸せ、善行だって同じ筈である。
その善行や善良な精神がいつかきっと身を助く。絶望の淵でも絶対に諦めてはいけない。そのような月並みな言葉を、この映画は絶大な説得力で語る。

ラストシーンはジョージという善人の人生を強烈に賛美する。そこにはあらゆる絶望を吹き飛ばすような、赫々たるパワーがある。

生きていてよかった。善良に生きよう。身の回りのあらゆるものに感謝しよう。友人を大切にしよう。そのようなポジティブ120%の清々しさ極まる感動を与えてくれる。これぞ名作。
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