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素晴らしき哉、人生!のイチのネタバレレビュー・内容・結末

素晴らしき哉、人生!(1946年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

ある町で自殺しようとする男がおり、天使が自身の昇進?をかけ彼を助けようとする。
その準備段階で彼の人生回想を見ていくことになる。


主人公ジョージは夢があり世界中を旅し建築家になること。青年期に幼なじみとの再会などがありいいムードとなるも、父親の急逝により父が社長だった住宅金融会社の存続が問題となる。
以前から薄利で商売をする父親に疑問を投げかけ、もっと大きな仕事、お金持ちになりたいと思っていたジョージ。

株式会社であり取締役や株主からは経営方法の危なさを指摘され、会社の解散も議題に上がる。
1928年の株主総会の雰囲気が描かれます。
銀行から貸し付けを断られた返済の怪しいとされる個人タクシー業者にも住宅資産5000ドル相当を貸し付ける。彼は個人的な友人なだけだった。


父親は、理想家であり商売は得意ではなかった。
蓄えもなく、子供を大学に行かせるお金もない。
ジョージは会社を継ぐ決心をし、大学に行かず弟をその間自分の学費を使って大学へ行かせるようにする。

ジョージとメアリーの結婚までの場面よかったですね。正直になりきれない。


事業の住宅金融の資金繰りがうまく行かず、閉業の危機が迫りライバル銀行の乗っ取り戦略にあうも現状を会社に来た顧客達に説明し、たしなめる。
「ここでうちが潰れたら高利貸のライバル銀行に支配され、誰も家を建てれなくなってしまうぞ」と訴える。
その危機を乗り越えるために楽しみにしていたハネムーン費用2000ドルを使うことにする。


ライバル銀行のポッターには、ジョージは誰より優秀なのに町を出ず家業を継いで薄利の仕事をしていて、人生を浪費していると言われる。
高い住宅に住みいい車に乗り世界中を渡り歩く、ジョージは本来そういったことをしたかったのではないか?

ポッター銀行へ引き抜きをしたいとし、年俸2万ドルにして都会への出張も頻繁にしてもらうと勧誘される。
しかしジョージは未練があるも同意せず断る。

苦しい経営が続くなかで副社長の叔父が大金を無くしてしまい、ジョージはイラついてしまう、隣人が新しい車を買ったことにもイライラする。

全てが悪い方へ行ってしまう。
費用を捻出するため、ライバル銀行に頭を下げに行くも担保もなく話にならないと言われる。
露頭に迷い自殺をしようとするシーンで冒頭の天使が助けるシーンに戻る。


天使は、お金にはならなかったが善いことをしてきたジョージがもしいなかったらの世界を見せる。善いことがされなかった弊害が違う方向で示され、町は殺伐とした雰囲気に染まってしまった。
ジョージがいないことで弟のハリーは死んでしまい、ハリーは戦争で多くの人を救うこともなくなってしまっていた。
違う世界を見た後は元世界に戻り、ラストへ。


この話は理想を求める銀行家の話ですが、商売全体に言えることでしょうね。
利益を少なくして消費者のために営業するか、売上を求め自分の儲けのためにするか。
破産した時のお金の持つシビアさ、怖さも描かれています。

家を建てさせてあげたいと思う気持ちは立派です、金利にもそれが現れているんですね。
日用品や家電などは安い物から高い物まである程度選んで買えますが、家はなかなか買えない。
金利の安い銀行って頑張ってるんだなと思いました。
借りる側からすると金利の差でしか違いはないですからね。

サブプライムローン問題もあったりして勿論貸倒れの弊害はありますが、この映画を見るとそんな事業者の気持ちも少しわかります。
でも世界的な恐慌になるならいいことではないのかな?ここら辺はデリケートな問題です。

人生を追う映画としてニュー・シネマ・パラダイスを思い出しました、あちらは小さな町の映画館
でしたが。
Wikipediaによるとアメリカでは毎年年末にTV放映され、普及の名作として親しまれているとのこと。
白黒映画でしたが、展開もよくとても面白い作品でした。クリスマスにとても合いますね。
イチ

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