詩だ。
画面を横切る役者に合わせたトラッキングショットが隠喩に満ちている。横に平行移動するとき、カメラは必ず障子や簾など宿の境界を過る。そのことにより、各々の宿泊客たちが形成する空間(すなわち関係性…
フィーリング・ラヴ…。東京の女に潜む影、視覚的な情報にかき消されて見えなくなってしまいがちなもっと奥の方を見る能力が長けているのは盲目の按摩であった。ふたりがすれ違う場面、感覚を研ぎ澄ます按摩の鋭さ…
>>続きを読む清水宏じゃなければ険悪な雰囲気になってそうなところを飄々としたユーモアで包み込む。「残念でした」連呼に笑う。たっぷりとした間合いが温泉地に溶け出しそうで何とも心地良い。
盲目の男が女の後を追う駆け…
目が見えないからこその眼の鋭さ。
「東京の女」が何かに怯えて、何かから逃げようとしていることを按摩だけが感じ取り、それからというもの彼は「東京の女」のことが気に掛かって仕方が無くなってしまうのだっ…
雨の雫が川面を打つ様子も、
逃げ去る男女の裸足のみずみずしさも、
傘をさして橋を渡る女の後ろ姿の脆さも、
ぜんぶ美しかった。
とにかくこの映画の映像をずっとずっと観ていたい、この時間がずっと続けばい…
後から感情が引き摺られる様な余韻を残す、風光明媚な山奥の温泉場に、行きずりの人が飛び交う宿で、東京からの学生グループ、女子ハイキンググループとの追っ掛けっこしてやって来た盲の按摩徳大寺伸と日守新一が…
>>続きを読む温泉街を舞台に繰り広げられる一人の女と二人の男(と少年)の数日間の物語
ストーリーがとてもシンプルで分かりやすいのも
無駄のない台詞回しや演出もとても良くて何よりユーモアが今でも通ずる面白さである…
清水宏監督作品。
盲人の按摩の鋭い勘を、愛情が鈍らせる…。
古さこそ拭えない気もしたものの、白黒映画ながら温泉街にある確かな自然と綺麗で澄んだ空気すら感じられるような、気持ちの良い傑作であった。…
松竹株式会社