TaiRa

按摩と女のTaiRaのレビュー・感想・評価

按摩と女(1938年製作の映画)
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清水宏の牧歌的な作風とドライな語り口でハードボイルド入ってるとこ好き。

温泉街での按摩と女と子供の出会い。流れ者たちの刹那的な共鳴が尊い。ハイキング学生=チャラい奴らという記号性が時代を感じつつ、コメディリリーフとして効いてる。女学生たちとのやり取りにおけるコミカルさがかわいい。ルノワールの喜劇くらいバイブスが良い。清水宏映画における正面ショットの切り返しのキマり具合が中盤のすれ違いの場面で爆発。ピント送らないので画面奥に遠のいて行く人物がボケるのも、盲人の認識出来る音と匂いが遠のいて行く表現として洒落てた。宿の中で、廊下から部屋を横移動で見せるとこはウェス・アンダーソンとかに近いものがある。ドールハウスとかを覗く感覚。ラストで車を見送る視点のショットがやおら歩き出してPOVになるとこは驚いた。クロースアップの少なさ故に不意に入る無言のアップとかが効果的。逃避行を表現する裸足の足元とかカッコ良かった。短くさらっと終わる品の良さも好き。
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