緑雨

野良犬の緑雨のレビュー・感想・評価

野良犬(1949年製作の映画)
4.8
「なに!ピストルをすられた?!」

一切の前置きなくいきなり核心に入るオープニングにぐっと心捉まれた。あくまで直情的で一途な村上(三船敏郎)の姿が、暑い暑い戦後の街に映え、最後まで目が離せない。

逃げるスリを追いかけるシーンの大胆な構図。

復員姿になってピストル屋に遭遇しようとひたすらに街を歩き回るかと思えば、いきなり何も言わず練習場に突っ走って流れ弾を探す。

「楽しいわ!」狂ったように回るレビューダンサー。

弾が切れ、犯人が捨てたコルトを大事そうに拾う。

村上の、そして黒澤明の心意気がこれでもかとばかりビシビシ伝わってくる。

野球場のシーンにも感動。数少ない娯楽に群がる人々の熱気と楽しそうな表情!当然ナイターなど無く、真夏でも炎天下のデーゲーム。今のプロ野球もああいう時代を礎に発展してきたのだ。
緑雨

緑雨