ともぞう

野良犬のともぞうのレビュー・感想・評価

野良犬(1949年製作の映画)
3.1
黒澤監督初の犯罪サスペンス映画。若い刑事がピストルを盗まれる。それを必死の形相で追いかける。若き三船敏郎の熱演は良かったが、映画としては陳腐だったかな。昔のエアコンのない日本の夏が本当に不快で暑かったことはよく分かったが。

〈あらすじ〉
射撃練習を終えた村上刑事(三船敏郎)はコルト式けん銃に弾を装てんして無雑作に私腹の上着のポケットにねぢこんだ。彼は連日の活躍に大分疲労を感じながらバスに乗り帰途についたが、途中のバスの中で一大事が起った。それは彼のピストルが盗まれたのである。ポケットに手をやった時はすでに遅く、周囲の怪しい奴が降りたので、すかさず後を追ったが残念ながら姿を見失ってしまった。真夏の昼下がりの出来事であった。彼は早速警視庁捜査第一課係長の中島警部(清水元)に事情を訴え出たが、そのピストルの中には7発の実弾が入っており、事の重大さに今更ながら若い村上刑事は当惑するのであった。 処分が決まるまで、じっとしている訳にもいかないので、中島係長のアドバイスでスリ係の老刑事の市川(河村黎吉)に相談する。すると鑑識課の手口カードを調べて当時の様子を分析したところ、市川刑事の知っているスリのお銀(岸輝子)が捜査線にあがった。気のはやる村上刑事は、市川刑事とお銀の巣へ乗り込んだ。お銀は最初しらばくれていたが、強引な村上刑事の食い下がりにしびれを切らして、場末の盛り場の貸ピストル屋を漠然と知らせてくれた。それからというもの、村上刑事はボロ服の復員兵姿で毎日歩き回り、そのピストル屋が姿を現すのを待った。その甲斐あって、遂にその行方を突き止めたが、事を焦ったため、すんでのところで村上刑事のピストルを持っている男を取り逃がしてしまった。それから村上刑事は淀橋の事件担当刑事の佐藤(志村喬)と一緒に仕事をすることになった。佐藤刑事は熟練者だけあって仲々手際よく事件にあたった、そして貸ピストル屋から端緒を得た彼等は、本多(山本礼三郎)という男に目星をつけた。聞き込みから野球好きの本多が後楽園球場にちょくちょく現れるという。さっそく手配写真を球場関係者に配布して、5万人という数の中から彼をおびき出し、逮捕に成功する。しかし、それで解決したわけではなかった。村上のピストルは本多の背後にいる遊佐新二郎(木村功)という男の手もとにあることが分かったからである。そうこうしているうちに、ピストル強盗はついに殺人事件へと発展してしまった。村上と佐藤両刑事は次々と捜査網を縮めて行った。そうして遊佐の情婦の並木ハルミ(淡路惠子)をつきとる。佐藤刑事は単身遊佐の後を追った、村上刑事はハルミの白状を彼女のアパートで待っていたが、不覚にも佐藤刑事は、村上刑事に電話をしている隙に、遊佐の弾に倒れてしまった。佐藤刑事は、村上刑事の輸血のおかげで一命をとりとめたが、純情な村上は慙愧に耐えなかった。そんな折、ハルミの必死の密告によって、彼女との待ち合わせ場所で遊佐を発見した村上刑事は、逃げる遊佐を必死に追いかける。遊佐は村上刑事に向かってピストルを発射する。しかし1発は村上の腕に、あと2発は樹木に流れた。全ての弾を撃ち尽くした遊佐は、ついに村上刑事によって手錠をかけられたのだった。
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