Theylivebynight

野良犬のTheylivebynightのレビュー・感想・評価

野良犬(1949年製作の映画)
4.1
まだ少し若々しい黒澤と、若すぎる三船。序盤の街歩きに、「生きる」と同じ冗長さを感じてしまいはするのだが、後半の演出の冴えは、高揚感と哀しみをもたらしてくれる。盗まれた自分のピストルを、同じ経験を持つ彼が撃つ。彼は自分であったかもしれない偶然性。最後にピストルを拾う瞬間に、その揺らぎを回収して、三船は生き始める。引き換えに、彼に象徴される不運な者たち、さらに言えば戦死者たちを忘却し、自己責任へと歩んでいくことになるのが、日本の戦後だとも言えるように思う。二度見上げる空にも、大きな意味よ。
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