いかえもん

アイリスへの手紙のいかえもんのレビュー・感想・評価

アイリスへの手紙(1989年製作の映画)
4.0
「ホリディ」に出てたケイト・ウインスレットの役名がアイリスだったんだよね。ほんで、この映画のことを思い出した。これずいぶん昔に観て、もう一度観たいなと思っていたのだけど、レンタルないし廃盤みたいでなかなか観られるチャンスがなかった。今、U-nextで配信されてて、すっごいうれしくて観ました。

ロバート・デ・ニーロの恋愛映画といえば、「恋におちて」が有名すぎるくらい有名で、それこそこの映画は廃盤になっちゃうくらいマイナーなんだけど、私はこっちのデ・ニーロもかなり好き。

この映画は、夫を亡くし子供を二人抱えながら、お菓子工場の作業員として働くアイリス(ジェーン・フォンダ)と、その工場の食堂でコックさんをやってるスタンリー(デニーロ)が知り合うのだけど、デニーロは子供の頃の事情で読み書きができない。それで、ジェーン・フォンダが彼に文字を教えることになって、二人の距離が次第に縮まっていくという大人のラブロマンス映画。わりとあっさりしているけど、いい映画です。

読み書きを教える映画としては「ドライビング・ミス・デイジー」が有名どころだと思うのだけど、この映画ではみんな社会のかなり底辺で必死に働き、希望や夢も抱けないまま毎日を送っている人たちしか出てこない。そして、その人たち同士が助け合う姿が描かれる。恋愛要素もあるにはあるのだけど、前半は特に文字が読めないがために苦労するデニーロの姿が描かれる。そして、文字が読めないばかりに最愛の父親の死をみとることもできなかったことで、彼は一念発起する。アイリスに「字を教えてほしい」と懇願するシーンは切実で泣ける。それから、紆余曲折ありながらも字を覚えて成功していくデニーロの姿と、ラストシーンの「なんでもやればできるよ」というセリフをあっさりと言うデニーロに、心がとっても温かで幸せな気持ちになる。
この映画で、デニーロがどんどんかっこよくなっていくところも演出が上手いなぁと思う。人が自分に自信を持つことでこんなにもかっこよくなっていけるのだなぁと思う。そしてアイリスを口説くセリフがまたかっこいいんだ。そんなことあっさり言いますか?!みたいなことをサクッと言っちゃうのがすごいわ。

とデニーロ絶賛になりましたが、もちろんジェーン・フォンダもすばらしくて、最初の疲れ切った未亡人が恋をすることでかわいくなっていくところ、それでも昔の旦那さんとの思い出が大きすぎて新しい恋になかなか踏み出せないところ、さすがの演技でした。お菓子工場のクリームでスタンリーって書いちゃうところなんか恋する女子高生みたいでかわいすぎでした。

デニーロ、若い頃は怖い役多いですけど、こういう役もやっぱりとってもいいな。