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最後の命令のhkのレビュー・感想・評価

最後の命令(1928年製作の映画)
4.0
1928年、ロシア革命から10年後にアメリカで制作、公開された作品。10年前に崩壊した帝政ロシアをどのように見ていたのか。

旧帝政ロシア時代の元総司令官が老いぼれて、今では亡命先の地アメリカハリウッドで映画のエキストラとして生活する日々。

周囲の人はそんな経歴があることは誰も知らず、知ったとしてもたいして価値あることではない。

映画の舞台は、10年前のロシア革命前後に遡る。総司令官は捕虜として捕らえた女性革命活動家と恋に落ちる。そこでの運命的な展開。

終盤、元総司令官が映画の戦闘シーンでエキストラとして総司令官を演じる。そして、"最後の命令"を下す。

名シーンである。
最後に彼に向けられた映画監督の言葉もよい。

ひとつの時代を終えた帝政ロシアという国、そこで厳として生き抜いた元総司令官に対するリスペクトを感じた。

威厳のある姿とその後落ちぶれた姿とを演じることにかけては右に出る者はいないエミール・ヤニングス。本作品等で第一回アカデミー男優賞を獲得している。

情熱的な女性革命活動家でありながら、自分の愛した革命の標的に逃げ道を授ける姿を演じたイヴリン・ブレント。冷酷に見える瞳の奥にある情熱と愛情の表現のされ方がとても印象的だった。
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