ばんがど

お葬式のばんがどのレビュー・感想・評価

お葬式(1984年製作の映画)
4.4
これが初監督作品か…。ホントにすごいな。
僕も祖父と祖母の葬式を喪主に近い立場で経験したけど時代や宗派によって異なるところもあるがお葬式というイベントの本質を的確にえぐり描いていると感じた。冷静に合理的に考えるとお葬式自体やる必要あるの?意味あるの?とも捉えてしまうが経験してみるとお葬式というイベントに救われることがすごく多い。その畳み掛けるようなイベントの数々は悲しみによって塞ぎ込むタイミングを潰してくれるし、疎遠となっていた親戚やご近所さんとの共同作業は結婚式と同様に新たな家族形態の披露宴のような意味も感じられ結果的に残された家族のいいスタートに繋げられた気がする。そんな本質をホントに丁寧にえぐり描いている。めっちゃガヤガヤしてたのにふとしたタイミングですっとしんみりする感じはホントにリアルだった。
各イベントをこれだけ丁寧に生々しく描いているにも関わらず、クライマックスの挨拶で明かされた後悔のシークエンスはワンカットも映し出されておらず、その結果ラストに繋がれる手は本作の主役だと思われた男は単なる馬鹿野郎で、本当の主役は「葬儀の女」であることが定義される。そしてその瞬間で幕が落ちる。

ホントにすごいよ。やられた。
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