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赤木圭一郎は生きている 激流に生きる男のakrutmのレビュー・感想・評価

3.0
日活撮影所内でゴーカートを試乗中に事故を起こして急死した赤木圭一郎を、そのときに撮影中だった映画『激流に生きる男』の映像とともに回顧する、吉田憲二監督のドキュメンタリー映画。『激流に生きる男』そのものは、野村孝監督、高橋英樹・吉永小百合共演で再撮影され、死去の翌年に公開されている。

内容的には赤木圭一郎を偲ぶ以上のものはないので、彼を見たいという動機がなければ、特に見るべきところはない。個人的にはどうしても野暮ったさが残る雰囲気からそれほどのスター俳優とは思えないが、スマートな石原裕次郎に比べて身近に感じられたのかもしれない。もう一つの見どころは、マドンナ役を演じた芦川いづみのインタビュー映像であろう。この当時に映画俳優が演技以外で素でしゃべる映像を見れるのは、ドキュメンタリー映画の中でということで完全に素ではないにしても、かなり貴重であろう。

赤木圭一郎の逝去から6年後に本映画が公開されているのは、ちょっと不思議ではある。映画の中では、依然として赤木圭一郎の人気は衰えず、ブロマイドも売れているみたいな説明がされているが、本当のところは興行成績が大きく落ち込んできた日活の苦肉の策というところではないだろうか。この4年後にはロマンポルノ路線に大転換することになるのである。
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