みーちゃん

都会のアリスのみーちゃんのレビュー・感想・評価

都会のアリス(1973年製作の映画)
4.8
ヴィム・ヴェンダース監督の"ロードムービー三部作"と呼ばれる一作目。

若い頃から、なぜロードムービーに惹かれるのだろう。たぶん、自分の中の奥深いところの、心象風景みたいなものと関係があると思うけど、まだそれには向き合っていないので、分からない。

ただ、私にとっての"ロードムービー"というジャンルを、こんなに洗練された形で確立してくれたヴィム・ヴェンダース監督と、それを視覚的に、完璧に表現してくれた撮影監督のロビー・ミューラーに、ありがとうと言いたい。

本作は、その原点を改めて確認させてくれる作品だ。登場人物がほぼフィリップとアリスだけのシンプルな物語だから、尚更際立つ。この旅を通して、主人公のフィリップ・ヴィンターの内面と行動に、確実に起きた変化とその過程。ラストの表情やロケーションから伝わるメッセージ。時代を超えて、いつまでも胸に沁みる。