のんchan

都会のアリスののんchanのレビュー・感想・評価

都会のアリス(1973年製作の映画)
4.8
ヴィム・ヴェンダースは『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』と『ピナ・バウシュ踊り続けるいのち』しか観ていない。

最近ようやく小津安二郎を観始めた私は、ヴェンダースが小津を敬愛する理由がほんのちょっと垣間見れた気がして嬉しくなる1作に巡り逢った💫

冒頭から「あ、小津作品を意識してる?」ってモノクロでの描写を感じ、何だかすぐさま「この作品、私好きかも?」と感度メーターがビビビッと動いた⚡️

全ての雰囲気、会話、ポラロイド写真、乗り物、食べ物、女の子の胸の内、哀愁、優しさ...
どれをとっても何だか新鮮で、ウキウキして、ずーっと終わることなく観ていたくなった。

ロードムービー3部作として監督の自信作になった初作‼️このあと「まわり道」「さすらい」と続く。そして「パリ、テキサス」と繋がるという。また観なきゃならない作品が増えた、けど嬉しい悲鳴😆


物語は、NY→アムステルダム→ドイツと移動する。
ドイツ人のフィリップは、アメリカ旅行記を出版社から依頼されているライター。しかし筆は進まず、ポラロイドカメラ(ヴェンダースはポラロイド社に手紙を書き、まだ販売前の新機種を2台提供してもらったらしい)で風景を写しているだけ。
仕方なく仕事を諦めドイツへ帰国しようと空港へ。ところがドイツの空港のストで直行便がなく、アムステルダム経由で飛ぶ方法が早いと知る。そこへ、英語が話せない母娘と出逢う。母リザから頼られたフィリップは翌日の出航便まで共にいる事に。
ホテルの部屋で一緒に過ごすも、朝方リザの姿がなく、置き手紙と娘アリスが残っていた。先にアリスを連れてアムステルダムへ発つフィリップ。ところが約束の日になってもリザは一向に現れない。そこでアリスの記憶だけを頼りにドイツの祖母の家を探す旅に出ることに。こうして見ず知らずの2人の旅が始まる...


9歳のアリスがおしゃまで可愛い🤩
仮にも私がアリスの代弁をしてみよう↓
《こんなだらしなさそうなおじさん、髪も薄いし...仕事は何してるのよ?お金あるの?も〜う心配で嫌んなっちゃう。お腹は空いてんのに、もっとちゃんとしたもの食べさせて欲しいわ、ほんと大丈夫かしら?》ってな感情だと思う😅💦不安一杯だから、笑顔もほとんど出ない。でもハッキリ言いたい事は言う微妙な年齢の女の子💕

31歳だというフィリップをさっぱり信じず、ポラロイドカメラでフィリップを写し「自分がどんなか解るわ」と差し出す。

旅慣れして来てドイツの朝ごはんを食べるカフェのウェイターに向かって主張する
「湿ったシリアルは嫌いよ!ミルクは自分で掛けるわ」と取替えてと皿ごと突っ返す😲
主張はしっかりする中でも心の内は、母に置いて行かれた寂しさ不安で押し潰されそうになっている😖

時間を過ごす中で、フィリップにもアリスにも離れ難い絆が生まれていく。

お洒落な監督のセンスが散りばめられているが、流石に音楽も好みがギュッと詰まってる♬
ジュークボックスから流れるキャンド・ヒートの「オン・ザ・ロード・アゲイン」
フィリップが海岸で口ずさむ「渚のボードウォーク」なんかもう音楽が風景の一部となっている。そして、チャック・ベリーの生コンサートシーンも登場する♫演奏しているは「メンフィス・テネシー」

絶対にまた観る、観たくなる❣️

とりあえず抱えた課題、小津安二郎、役所広司があるけれど😅ヴィム・ヴェンダースもそこに仲間入りだわ😉✨✨

※アリスがラストに着ているシャーリングのワンピース👗絶対に前後が逆だと思う😂敢えてなの?さすがの監督も女の子のワンピのこと、知らなかったかな?💦



2021-112
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