Gan

都会のアリスのGanのレビュー・感想・評価

都会のアリス(1973年製作の映画)
4.3
音楽も台詞も登場人物も、動的なものは全てミニマムで、風景や写真などの静的なものに、ヴィム・ヴェンダースは多くのものを託している。ロードムービーの定義が、やっと自分の中で定まってきた気がする。あとアリス可愛い。

アリスとフィリップのプリクラシーンは、2人の人間についての普遍的な距離の縮まり方を、端的に四コマで示唆してくれた。あとアリス可愛い。
結局のところ、2人とも似たもの同士であり、行き場のない狭苦しさ、根底にある種の諦念をたたえているようにも見て取れる。
物語とは人物Aが作中で欠けているものをゲットし、最終的にA´になっていくものだと思う。しかし、この2人は欠けたものを完全に埋め合わせられた訳ではない。根本的なものは欠けたままである。しかしそれでいい。その形式も含め、ロードムービーの定義になり得るのかもしれない。そういった意味では、限りなく現実に近く、どこまでも優しい映画である。

ほんでフィリップモテすぎや、旅路の女性諸君、あんな太宰風ニヒリスティックアンニュイ男子に引っ掛かるなよ。でもアリスは可愛いからええねん。ねじ曲がりながらも、真っ直ぐ育つんやで。
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