周辺住民

都会のアリスの周辺住民のレビュー・感想・評価

都会のアリス(1973年製作の映画)
4.5
『大人ミーツ子供』映画は現代では既に確立されていて私は特に好んで観るのだけれど、本作はその全ての元にある作品だと感じる。実際『カモンカモン』を撮影したマイク・ミルズ監督もフェイバリットに挙げていた参考にもしているそう。

何と言ってもアリスとフィリップの関係性の変化が味わい深い。20歳近く差があるはずなのにカットを追っておくごとに恋人同士にさえ見えてくるのはどうしてだろう。

ヴィム・ヴェンダースがドイツへの失望感からアメリカへの憧憬を感じていたのは有名な話だが、恐らく感じていたアメリカへの憧れは思った通りでは無かった、という点がこの映画で示唆されていると思う。

---

いつか心が平穏を得た時のために今は写真で残しておく。

ドイツとアメリカ、板挟みの虚無の中出会ったアリス。気づけばカメラを構えることを忘れて自分の目で世界を見られる自分に変わっていた。

何処に居るかより、誰と居るかがいかに心の安定を占めるかという話に思えた。
周辺住民

周辺住民