アニマル泉

ロストロストロスト/何もかも失われてのアニマル泉のレビュー・感想・評価

5.0
メカスは美しい。「ショットの強度」と
「グルーヴ感」この二つが天才的だ。一つ一つのショットが力強い。コマ撮りやピンボケ、手振れなどをエモーショナルにつないで独特のグルーヴ感を醸し出す。本作でメカスは自らを「シネマの修道士」と名付けている。
本作は全6リールからなる。 
第1、第2リールはリトアニアから亡命してニューヨークのブルックリンに住み着いた時代を移民コミュニティを中心に描く。
第3リールはマンハッタン時代。映画制作を開始する。
第4リールは反戦運動。
第5リールは「うさぎ糞の俳句」の未完成フィルム。
第6リールはプラハティ・フィルム・セミナーへの参加と拒否。メカスの美しい短編が挿入される。
メカスの映像は記憶の集積だ。「移民」「故郷」が通底するテーマになる。さらに本作では「振り向かずこの道を前へ」というモノローグが繰り返される。
メカスの日記映画は今ならばスマホで撮るログみたいものだろうか。メカスは亡命直後は英語を喋られないのでカメラを買った。そして毎日撮り続けた。「撮ることが生きること」であり、だからメカスは美しいのである。
アニマル泉

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