フランソワ・オゾン監督の長編デビュー作。
表面的には平和に見えたブルジョワ家族が一匹のネズミの闖入で崩壊するさまをグロテスクに描いたブラックコメディ。
なんだこれ~?!!!
毒のてんこ盛り、タブーのてんこ盛り、サディスティックに観る側を弄ぶ監督の悪趣味ぶりすら感じる。
後の作品の洗練された雰囲気と映像を取っ払って、毒を露骨に表面化した実験的で攻撃的で、ある意味初期らしい作品だった。
ゲイのカミングアウト、ゲイの手ほどき、身投げ、近親相姦、SM、と、過激なエピソードたちに目が点。挙句の果てに念押しの超ぶっ飛びのラスト展開…。
何かをきっかけに人間の隠れた欲望が顕になり壊れていくブルジョワ家族の脆さと風刺は、パゾリーニ監督の『テオレマ』的。それでいて、ずっと分かりやすい。そしてずっと下品。笑
何れにしても素晴らしすぎる冒頭の掴みに最後まで引っ張られた印象。