このレビューはネタバレを含みます
【 潜入官(せんにゅうかん) 】
「先入観」という言葉がある。簡単に言えば、偏見のことであり、「警察官は悪い集団に属しないし、警察官に悪い人はいないよね」といった囚われた概念が挙げられる。
こうした先入観を覆し、“潜入官”を構築したのが本作である。とある警官は汚職に手を染め、とある警官は10年もの間、組織に入り込む。さすがに概念をブチ壊すトンデモ設定なだけあって、緊迫感がハンパではない。おもしろいのは言うまでもない。
アンディ・ラウとトニー・レオンや両名のやり取りはいつまでも観ていたいし、時折登場するケリー・チャンも好きだ。私にとってはまさに、夢のような展開である。本作のトニー・レオンは特にかっこいいと思う。
ビルの屋上での二人のやりとりはまさに極上であるし、エレベーターでの怒涛の展開は圧巻である。閉まりきらないエレベーターの光景は忘れられないだろう。
最初と最後で見事につながるステレオの件も素晴らしい。確かによく聴こえた。
タイトルにもある「無限地獄」。終始報われなかったヤン(トニー・レオン)は、前世で悪いことをした報いなのか、それとも後世では報われるのか。それは誰にも分からない。