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マネー・ゲーム 株価大暴落のとぽとぽのレビュー・感想・評価

3.5
これはブローカー版『グッドフェローズ』か!つまり物語は中盤くらいから始まり、ヘンリー・ヒルがマフィアに憧れたように『ウォール街』のゲッコー(や『摩天楼を夢みて』)の表面的な部分とその特権に憧れ、トミーのように主人公を困らせる暴力的なキャラクターがいて、主人公は徐々に葛藤して、最後はその組織から新たな一歩を踏み出す。キレやすい暴力狂犬スコット・カーンは、スコセッシ作品のジョー・ペシ!主人公がとある集団に入って、その特権を謳歌するも、その異常性や闇に気づく…というようなプロット自体は決して珍しいものではない。なんならSFのユートピアと見せかけてディストピアもこのパターンの派生では…。怪しく思い始める主人公。良心の呵責、人に不要なものを無理やり売りつけて損させる。時に人生を破滅させる。その破滅させられる側も一人にスポットを当てて描いているのはよかったかもしれない。にしても邦題安直。じき独立。秘書に替わります。

おいしい話。要はカネ。最初、主人公は大学を中退して部屋で学生相手に違法(だけど客の目は真っ直ぐ見られる)カジノをしている。そこから、カジノのことがバレて父親に激怒・失望された主人公は、父の期待に応えようとグレーというより真っ黒ダークな世界に足を踏み入れていく。"意識高い系"の顛末。何も恥じることなく後ろめたいことなく真っ当に生きたいっすよね。
『プライベート・ライアン』組ジョヴァンニ・リビシ、ヴィン・ディーゼルはじめスコット・カーンなど90年代当時の若手キャスト共演。それもそのはず。人事はファック連発するベン・アフレック。27歳でプレーヤーとしてはもう一線退いた年寄りジジイで、絵に描いたような隠居金持ちライフとその価値観を得意げにまくし立ててくれる権威キャラ。今ならパワハラ。アビーには手を出すな。ウッドとレコ、ユダヤ系とイタリア系。至極まっとう人様の目を見られないような、家族や友人、人に話せないような仕事はするな。それは何も本作中で描かれるような胡散臭い会社の話だけではない。粘着質な日本に今尚まかり通る"中抜き"などと言われるものも同様。

勝手に関連作『ウォール街』『摩天楼を夢みて』『マネー・ショート』『ウルフ・オブ・ウォールストリート』『青春の輝き』
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