映画は遠い過去のはなし

女と女と井戸の中の映画は遠い過去のはなしのレビュー・感想・評価

女と女と井戸の中(1997年製作の映画)
2.7

◎父親と二人暮らしの中年女ヘスター、広大な土地と屋敷を持ちながらも頑迷な父親の支配に耐えながら、単調で地味な暮らしをしている。白髪混じりの三つ編みでお疲れの風情。クラシック好きで、足が悪く、内向的。
一方の雇われの若いメイド、キャサリンは家も土地も持たず、金髪でガールズロック好きのはしゃいで踊る少女。性格も奔放で行動が少々過ぎる。

◎年も離れた対照的な二人。オーストラリアの広大な自然を舞台に二人の微妙な関係が淡々と続いて行く。
死体を井戸に放り投げてからは、心理ホラーテイストな展開に。かと言って何かが起こるわけではない。死体も見えない。

◎全編青みがかった映像と涸れた井戸はヘスターの心の内に潜む憂鬱、保守、孤独、抑圧といったもの。

◎ラスト、多くのものを手に入れたが、浮かない表情のキャサリンと、全てを失ったが、前を見つめるヘスター。最後の最後まで対照的な二人。
心が通い合うことを模索したヘスターだったが、所詮無理な話だった。
キャサリンが頭足らずなガキっぽいところと、ヘスターの独りよがりの独占欲がどうも鼻に付いてしまって少々残念。二人とも欠陥過ぎて感情移入できなかった。