yukihiro084

Q&Aのyukihiro084のレビュー・感想・評価

Q&A(1990年製作の映画)
3.8
この作品の肝は、ラスト近くにあると
思うのね。ナンシーのトコじゃないよ
(むしろナンシーの、ストーリー的に
必要だったか?)その前のね。
ラストのあのやりとりを見せたいがため
の、2時間だったんじゃないかな。

『あぁぁぁぁぁ…』となる。

シドニー・ルメット。昔、シドニー・
ルメットにハマった時期があって。
僕の中の永遠のオールタイムベスト
の上位に入る『旅立ちの時』の監督でも
あり、70年代の作品を観まくった頃に
出会った(セルピコ)や(狼たちの午後)
や(ネットワーク)の監督でもある。
そして、本作の監督でもある。
そりゃ当時の僕だったら観に行くよね。
懐かしい。でも古さは感じない。

刑事たちが軽口をたたく。仲が良く見える
が、どいつもこいつも、うわべだけの
慇懃無礼な奴らばかりにも見える。

ある刑事が、売人を射殺する。
それは正当防衛として処理される。
形式的に処理を任された新人の検事補。
部屋の中にいる刑事たちは、全員、
真っ黒ではないが、真っ白には見えない。
汚れてはいないが、キレイではない。
それが気持ち悪い。
目撃者などの聴取から、疑惑が生まれ、
それは確信になってゆく。気付くと、
囲まれている。誰に?全てが敵に見えて
くる。誰が味方で誰が敵なのか。

ニック・ノルティ。凄い悪役を演じて
いる。ある意味このニック・ノルティを
見る映画。最初、全然わからなかった。
大型犬のセント・バーナードみたく
なってた。(48時間)のタフガイも、
(ロレンツォのオイル)の良き父親も
そこにはいない。しゃがれ声のセント・
バーナードが凄んでくるのだ。凄い迫力。
おまけに、この後のキャリアに影響が
出ちゃうんじゃないかって心配するほどの
クソ・ゲス・差別野郎を演じている。
ずっと差別用語を撒き散らし、暴走する
トラックのように突き進んでゆく。

見応えある良作。再鑑賞。

差別。
この作品を観るとね、差別意識って、
もう細胞レベルで出てくるんだろうね。
もうすごいの。もう暴力なの、凶器なの。
人種差別。もうヒト扱いしていないの。

この物語の根底にあるもの。
そりゃ、分断もするわ。
yukihiro084

yukihiro084