このレビューはネタバレを含みます
権力者4部作②
病に倒れ半身不随となり郊外の森のなかの邸宅で療養生活を送る、かつての権力者レーニン。
党本部からの電話や手紙はこず、隔離されたような状態で、妻と妹以外はレーニンの様子を気にするでもなく、常に監視しているような不穏な動きの人々。そんな中スターリンが様子を伺いに訪れる。
身体の自由もかつての権力も奪われた哀れな男と、虎視眈々と権力を掌握しつつある野心溢れる男との対比よ...。
痴呆が進行しながらも、当初の志を思い出したかのように"人民は飢えに喘いでいるのに贅沢な..."と呟き、スターリンに贈られた杖で感情が爆発したように食卓やピアノを破壊していく様が恐ろしくも哀れだった。
小鳥がさえずり木々が揺らめく森の中で、死にゆく目前の儚げなレーニン。
蒼く靄のかかった幻想的な映像が美しかった...。
(アレクサンドル・ソクーロフ特集2023)
2023-221