すず

おつむてんてんクリニックのすずのレビュー・感想・評価

おつむてんてんクリニック(1991年製作の映画)
3.5

「I feel good. I feel great. I feel wonderful…」何度も、何度も、何度も、こめかみに刻みつける。気分は上々最高…。

「Good morning, Gil ! I said, good morning Gil !!」ギル(=ペットの金魚)におはよう!!

「Wish me luck, Gil !!」いってきます、無事を祈って、ギル‼︎

重度の外出恐怖症で潔癖症の、ボブ•ワイリー(ビル•マーレー)の朝のルーティン。

たらい回しとも知らず、ボブの後任を請け負ったのは気鋭の精神科医 レオ•マーヴィン先生。

ドクター•レオ直伝の魔法の言葉は、自著のタイトルでもある「Baby steps」小さな一歩の積み重ね…。ただいま売れ行き絶好調で、テレビの取材を受けるらしい。

1ヶ月の長期休暇中のドクター•レオに、あの手この手で接触を試みるボブの執念がほんとにヤバい。もう笑いが止まらない。

ドクター•レオの家族の問題をすんなり解決してしまうボブ。

ボブのことを大好きになる家族たちに、ドクターはご立腹。

誰もが他者とすれ違い、分かり合えない孤独を胸に抱えている。それは、患者でも、ドクターでも、皆が悩める人間には違いない。

繊細なモラリストであることが美徳のような現代だが、この際、不謹慎は承知の上で大いに笑いたい。顔の綻びがおさまらないほど、ビル•マーレーのコメディアンたる勇姿が輝いている。

個人的には現代最高のコメディアン、ビル•マーレー節炸裂の型破りにハートフルな劇薬映画。

スウィートで、小悪魔で、強烈なくせ者で、もはやペテン師じみたボブ。

こんなエンディングって無しでしょ?笑
ダメだよ、こんなの。テキトーで、不適切な物語。笑

このエンディングはホントに好みじゃなかったけど、もうビル•マーレーが最高だったから良し。90年代のモラル基準で生み落とされた遺産。自分も差し障りない潔白さにすっかり染まってしまったようで、ダメなのかも。笑

飄々としたビル•マーレーのプリティな顔を見たら、もう、なんでも許せちゃうのがズルい、強烈にブラックなコメディ作品。

ドクター•レオの名言の復唱
「Take a vacation from my problems」
「自分の悩みからゆっくり休みを取れ」
すず

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