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彼女たちの舞台のzhenli13のレビュー・感想・評価

彼女たちの舞台(1988年製作の映画)
4.0
私の中では『セリーヌとジュリーは舟でゆく』『北の橋』が昔からワンツーフィニッシュで(リヴェット全作品を観てないが)『彼女たちの舞台』はそれらに比べるとDVD再生回数は少ないのだけど上映機会があるたびになんとなく観に行ってしまう作品。
瑞々しい女性たちと原色に彩られたわくわくするような衣装が魅力と言え、雑誌Oliveにおける80年代後期のスタイリングとどんぴしゃだなぁと昔から思っている。〈リヴェットの女の子たちはOlive少女のお手本だね!〉なんてテキストが勝手に脳内再生される。
なかでも好みなのはロランス・コートのボーイッシュな衣装。しかしブノワ・レジャンと懇ろになるとややフェミニンな装いに変わる。どちらかというとボーイッシュな印象のロランス・コートとナタリー・リシャールが男に足を掬われるところが興味深い。(そういやまだ無名?で台詞もほとんど無いイレーヌ・ジャコブが出てる)
4人の女性たちが共同生活する家の中の色彩と彼女たちの衣装はとにかく見てるだけで楽しい。リビングで裁判劇を即興で演ずる彼女たちののびやかなアクションも美しい。しかしビュル・オジエが主催する演劇学校の稽古舞台、曇天の駅、走る電車内からの視点(誰が乗っているかはわからない)など、閉鎖的または陰鬱な印象。

本作は他のリヴェット作品にみられる、謎の黒幕(だいたい男性。政治や犯罪や生き死にがからむ)の手を軽やかにすり抜けてゆく女性たちというわけではない。年嵩のビュル・オジエが若く希望のある女性たちを閉鎖空間に匿っているかのようで、しかし奔放な彼女らはそのことを疎ましく感じたり遊びたかったりして罠にかかり、女性たちは懸命に抗するも男性の力に屈するというシリアスなラスト。一人どこか神性を帯びたイネス・デ・メディロス(超絶可愛い)の険しい表情で突然ぶつ切られるものの、置き去りにされた若い女性たちが未熟でも自分たちのやり方で芝居を続けようとするところに希望が見出せるのかもしれない。
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