結局カレー

リリイ・シュシュのすべての結局カレーのレビュー・感想・評価

リリイ・シュシュのすべて(2001年製作の映画)
3.3
この映画を初めて観たのは14歳、15歳よりも若かったときかもしれない。この言い表せない閉塞感と鬱屈とした空気感だけが印象に残っていて、もう一度観ようにも重い腰が上がらなかった強烈なインパクトある作品。キリエのうた公開に際してYouTube公開中ということで10年以上ぶりにようやく再視聴。

“厨二病”と揶揄されることもある14歳の頃、今だから笑える青さや痛さがあるかもしれないけどあの時は身の回りが“世界”で全部真正面からくらってたな。今じゃ逃げればいいのにって思える環境も逃げ先がわからなかった。現代は小中学生でもスマホを持ってネットで人と繋がれる時代だからその危険性を指摘されることが多いけど、確実にこうした息苦しさの風穴にもなってて。「昔は良かった」ももちろんあるけど、今の時代に救われてるものも沢山あると思う。2001年普及したばかりのネット掲示板が蓮見の逃げ場だったように。

つい最近まで仲良く話してた相手が態度を急変させてきたり、たった一つの出来事で自分の人生がひっくり返ることもある多感な時。今や黒歴史と言われるものだって実はその時のめいいっぱいだったり自分がその時生きる上で不可欠だったこともある。もう”戻りたくない青春”ってのも人生にはあるんよね。この作品の様相は決して中学生あるあるではないと思うけど、きっとどの時代の中学生にもこんな温度で世界を見てた子がいると思う。だからこの映画つまんないって人がいることも、一番好きな映画にこの作品を選ぶ人がいることも納得する。それでいいと思う。

花とアリスでもそうだったけど蒼井優の唯一無二の空気感よ。でも唯一無二と言いながら彼女の双璧となり得るのが市原隼人なのよな。イッチー無双時代がたしかにありました。全世代で14歳の儚さ選手権あれば優勝はこの2人。