ひらた

リリイ・シュシュのすべてのひらたのネタバレレビュー・内容・結末

リリイ・シュシュのすべて(2001年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

とんでもなく美麗な映像にとんでもなく陰鬱な描写の数々とそのコントラスト。
でもただ暗いだけの映画じゃない。
思春期特有の突拍子の無さとか初々しさ、そしていずれは失われてしまうようなその儚さが生々しく美しく光る。

・コンテクストについて。
当時の演者たちは数々の激しい描写の意味を理解していたわけではなく、監督や脚本の指示通り+撮影を楽しんでいたようで。
それゆえなのか、リアルかつグロテスクなイメージの中に独特の繊細さが感じられる。
「脆くて弱い生の人間がこの世界を生きてる!」
そんな印象を持った。
劇中のドビュッシーやリリイ・シュシュ(架空の歌手、もといSalyu)の音楽が世界観に浸透しきってて良かった。曲調は不安定な感じだけど強固な美しさがあるっていう、この作品にピッタリ。
2000年初頭まだ発達段階の掲示板サイトを脚本?小説?に組み込んで使ったり、実際にリリイ・シュシュのコンサートを行ってみるっていう現実とのリンクがコンセプトだったのか、それ当時の人からしたら相当面白いだろうなと。


・特に印象に残ったところ
「アンタがアタシを守ってよ。」
蓮見が津田にカバンで殴られてるところ。
鉄塔の近くでカイトを飛ばすのところ。
↑津田は個人的に印象に残るキャラクター!

主人公の蓮見がどんどん塞ぎ込んでしまうところ。
《堕ちる!堕ちる!堕ちる!》

《『呼吸』!》

痛々しくて思わず目を伏せたくなるシーンが多かった。主人公が泣いてるところ本当に辛すぎる。(実は泣けなくてハッカを目にかけて泣く演技をしたっていう話でほっこり)

・まとめ
マジで賛否が大きく分かれるのかなと。
この映画のことが好きな人には、自分が持ってる傷口に浸透してそのまま一緒に寄り添ってくれるような作品になるんじゃないかと思う。個人的には観てきた映画の中でもすごくすごく好きだったのでしばらく余韻に浸りたい。書きたいことは沢山
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