とんとんとん

リリイ・シュシュのすべてのとんとんとんのレビュー・感想・評価

リリイ・シュシュのすべて(2001年製作の映画)
2.0
僕は岩井俊二がそこまでハマる人間ではないということがわかった。おそらく僕はもう少し世界は開いていると思っている。岩井俊二の映画には思っていることを話せる他者が欠けているような感じがして一昔前の自分を見ているようで苦手なのかもしれない。
 個人的に見た作品を例に挙げる。Undoでは基本2人の世界が展開され、その後医者に話をしているがあれは診療であって由起夫がどう思っているかどうしたいか全部吐露できる相談という感じではなかった。picnicは神父以外人の話を聞いていない。リリイは、結局蓮見が誰にも思っていることを打ち明けていない。だからどれも少なくとも見た目の上では悲劇的な結末に繋がっていったんだと思う。僕が見たことのある作品ではラブレターだけは他者に開かれていてかつ悲劇ではない終わり方をしたと思っている。だから見た作品でラブレターが好きなのだと思う。
 岩井ワールドと一般に言われているのは他者が不在の世界ではと思った。あまり他の監督で例えるのはどうかとも思ったが、山戸結城に近いものを感じた。山戸結城は他者がいないと悲劇にすらならない(少なくとも閉じた1人の悲劇にしかならない)と言っているからまだ好きだなと思う。


自分では行かなかったであろうパルシネマの岩井俊二オールナイトに連れて行ってくれた友人に感謝します。