ぎー

真夜中のカーボーイのぎーのレビュー・感想・評価

真夜中のカーボーイ(1969年製作の映画)
2.5
うーん、よく分からなかった。
昔の映画だけど現代から見ても、男娼をテーマにした意欲的な映画だとは思う。
でも、全然楽しくないし、心を揺さぶられて涙することも無かった。
ただただスラム街でホームレスをしている小男ラッツォを演じた、ダスティン・ホフマンの演技が凄まじかった印象。
ハーモニカの音楽がどこか懐かしい雰囲気を醸し出してくれているおかげで、極端に暗い気持ちになることはなく見ることができた。

主人公のジョーのキャラクターは憎めない。
都会で成功することを夢見て、なんのプランもなく、時代錯誤のカーボーイの格好でニューヨークに来てしまった。
やってることは男娼なんだけど、凄く純粋だった。
ラジオをずっと宝物みたいに抱えているところとか、愛おしかった。
でも純粋で夢を見ているだけじゃ生きていけない。
現実はそんなに楽じゃない。

一番印象に残っているシーンは、一度はジョーを騙したラッツォの家で、ジョーと二人で共同生活を始める場面。
正直どう見ても状況は最悪。
お金はないし、ラッツォの病気も悪化する一方。
でも一人でいた時と比較して、遥かに二人は幸せそうだった。
人間ってそういうものだと思う。
いくらお金とかあっても孤独だったら幸せにはなれない。
仲が悪くたって良い。
喧嘩したって良い。
誰かといることがなによりも人間らしさに繋がるんだろうな。

二人は極度に困窮して万引きを繰り返し、身なりも整えることができない。
当時のアメリカにはセーフティーネットが全く無かったのかな。
ラッツォが病院にもかかれないのはあまりにも悲惨。
二人に課題がなかったかというとそうではないと思うけど、人間には生存権がある。
時々こういった人間らしい生活を送ることができない人々に焦点を当てた映画を見ると苦しくなる。
自分の環境に改めて感謝して生きていかないと。
ラストシーンが物語っているように、世界が違う人に人々は極めて無関心。
同じバスの中で四人が出ても、人によっては化粧を続けてしまう。

極めて珍しいテーマで、キャストも熱演した意欲作だけどインパクトが弱かった。
淡々とストーリーが進行していって、心もあまり揺さぶられない。
自分にはちょっと難しい映画だった。

◆備忘ストーリー
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/真夜中のカーボーイ
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