てれ

誰かがあなたを愛してるのてれのレビュー・感想・評価

誰かがあなたを愛してる(1987年製作の映画)
4.2
先進的ではあるが趣が感じられないニューヨークの町並みは個人的に好きではなかったけど、それをシンプルながら美しい画として撮れるアレックス・ロウ&メイベル・チャンのタッグ最強では?
たぶんこれから揺らぐことはないだろう私のいちばん好きな香港映画「七小福」を作ったのも彼ら。本作の製作は1年早いが、七小福同様にノスタルジー溢れる画を撮るのが本当に上手いと思った。

彼氏を追ってニューヨーク留学したが早くも傷心したジェニファー…あの彼氏無責任だろ(怒) 留学のためにお金を貯めたジェニファーのほうがよっぽど立派だぞ!
彼女が頼れるのは宿を用意してくれた遠い親戚のシュンタウ。初対面で煽り運転するし()ギャンブル好きというなかなか破天荒な奴だけど底抜けに明るいのが憎めないキャラ。ジェニファーが彼のお気楽さ、かっこつかない親しみやすさに絆されていって芯のある女性へとちょっとずつ成長していく姿がなんとも素敵だったなぁ。
シュンタウはジェニファーのどこに惹かれたのかなぁなんてふと思ったけど、きっと彼女の真っ直ぐなところだろうな。
彼が鏡に書いた「俺は彼女を愛している」を「誰かが」に書き換えるところとかキャー!!!(萌)ってなる。

劇中に出てくる食べ物で焼き鴨が美味しそうだったのが印象に残った。香港のローカルフード食べてみたいな。

本作のオッサンくさいチョウ・ユンファも好きだ。でも「風の輝く朝に」以来で挽歌シリーズはまだ観てないのでこれから開拓していきたい。
主演のチェリー・チェンさんは五福星でお目にかかってたけど本作での演技がとても良かった!

全体的にゆったりとしたストーリーの映画は前はあまり得意ではなかったけれどこれは好き。オー・ヘンリーの「賢者の贈り物」を想起させるくだりからのラストシーンは秀逸。
何回も見たくなる、余韻が心地いい映画でした。
てれ

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