前作は宇和島で今回は松山。旅行をしながら行く先々で同じメンバーの似たような筋の映画を撮っていたのだろうか。アキラとジョーはまた船の上で初対面。互いの記憶は毎回リセットされる仕組みになっているらしい。もちろん松山の街には浅丘ルリ子と白木マリがいて、各地方に必ず同じ顔の人たちが住んでいるらしい。
毎回アキラのバーターで1曲歌いに来る日本コロムビアの歌手だが、前作『南海の狼火』と人も曲も同じとはあんまりだ。短いスパンで映画を撮りすぎて、歌手の派遣が追いついていない。
今回の悪役は藤村有弘と高品格のコンビで、2人でようやく金子信雄クラスの悪役とレベルが釣り合うということか。キャバレーの隠し部屋にあるカジノではイカサマしか行われていないので、善人がそこに招かれるとまずロクな目に遭わない。今回はアキラのイカサマ破りのシーンがない代わりに、巻き上げられた金を取り戻しにきたルリ子をアキラが止めるという珍しいシーンがある。実はアキラは敵でも味方でもない。ダメな時は潔く引き下がる冷静な男なんである。
白木マリのダンスシーンはエキゾチックな衣装で、カメラワークも無駄に凝っている👏 ヤクザの喧嘩でいつもならアキラが止めに入りそうなところで先にやってきてカッコよく啖呵を切ったり、ホステスの尻を触ろうとするジョーの手をツネって殴りかかろうとする場面もあり、あの昭和の時代にわきまえない女性像をリードしていたマリの活躍には拍手を送りたい。
