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スラムドッグ$ミリオネアのcamusonのレビュー・感想・評価

スラムドッグ$ミリオネア(2008年製作の映画)
4.3
テレビのクイズ番組「クイズ・ミリオネア(インド版)」に回答者として出演した
ムンバイのスラム出身の青年が、正答を連続し、
パーフェクトまであと1問というところで、時間切れ次回持ち越し。
番組終了後、不正を疑われて警察で取り調べられることになります。

青年はクイズの正解をいかにして知り得たのか?
青年が自身の半生を回想し、語っていく物語です。

スラムの子供ですから、生活していくためには、
無銭乗車に始まり、スリや詐欺も当然のようにやります。
悪ガキの冒険譚が展開され、それはそれで楽しいのですが、
とにかく、映像で展開される「混沌」に圧倒されます。

社会的なインフラがほとんどない中、ごみと子供だけはやたら多くて、
それらが混じり合った状態で、本人たちは何の違和感もなく生活していて、
インドのスラムの現状の一端なのでしょうが、どこか近未来世界のような感じもして、
映像に見とれてしまうようなところもあります。

近代化の表の部分、虚構であるテレビのクイズ番組をとおして、
近代化の裏の部分、ゴミと子供にあふれたスラム街の現実を見せていく。
(むろん映画はフィクションであり虚構ではありますが・・・)
このアイデアが、非常にうまくはまっていて、
物語は非常にシンプルなのですが、メリハリがきいて飽きさせません。

舞台がインドであるからこそ成り立つ映画であり、
「混沌」と「躍動」こそが、この映画を輝かせている源ですね。

当のインドでは本作品に対して、批判的な意見も多いようです。
自国の社会問題をネタにされれば、いい気持ちはしないというのは、
わからなくもないですね。
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