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あゝ決戦航空隊のNowLoadingのレビュー・感想・評価

あゝ決戦航空隊(1974年製作の映画)
3.6
 本日の一本。

 海軍大臣米内光政が主人公大西瀧治郎に対して言うセリフ「君は二千万人の特攻を出せばアメリカに勝てると言ったな?では北からやって来るソビエトは誰が立ち向かうんだ?」というものがあるが、これが全てである。この終戦の辺りの徹底抗戦は軍人としての尊厳や先んじて特攻した若人達の弔い合戦をしなければならないというのがわかるとともに、このあたりの大西のなんと醜い我儘であることか。多分ソ連が攻めてきた時点で敗戦はわかっていたんだろうが。

 本作はそんな大西がひたすらに後悔しまくりの選択を選び続ける悲惨な末路を傍目から鑑賞出来るそんな一本だ。特攻をすればレイテ島に栗田艦隊は辿り着くであろうとか、フィリピンから台湾に逃げる際に部下から叱責されたとか最高戦争指導会議に乱入して冒頭の米内にまた怒られたりとか。本人はしたくなかったけどやらざるを得ませんでした…という内容が最初から最後まで続く。

 見逃すことはできない天皇批判もこの手の映画では非常に珍しい。上も下もなぜ陣頭指揮をしないで引きこもっているのかと叫んでめっちゃフラストレーション爆発中。こういう映画もあるんだなというのは新たな発見。

 最後のハラキリもしっかりと描写として目が離せない。途中突如くたばり損なっている状態を見てそこカットするんだ、と思ったが、前フリなく当時の国鉄渋谷駅とその最期の地を見せ付けてからラストシーンとなるため一番の印象的な場面となっている。
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