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忠臣蔵のmitakosamaのレビュー・感想・評価

忠臣蔵(1958年製作の映画)
3.4
大映版のオールスター忠臣蔵。主演の大石内蔵助はもちろん長谷川一夫大先生だ。

浅野内匠頭は雷蔵。美しい。他のどの内匠頭よりも似合うと思う。吉良に嫌味を言われ畳をを総とっ替えするシーンもあるが、この辺は割とアッサリ進むね。東宝稲垣版ほどは詳しく描写していない。

そして長谷川蔵助の威厳のあることよ。
吉良側の女間者である“おるい”(京マチ子)が大石にすっかり魅せられ「身も心も美しい」とベタ褒めだ。

鴈治郎が演じるのが垣見五郎兵衛と言う役。他の忠臣蔵作品では立花左近の名前でも登場するキャラクターだね。大石が武器を持参する上で江戸入りする際に騙った人物と鉢合わせてしまうが、相手は赤穂浪士が敵討ちを狙うことを察し自分が偽物だと言うシーンだ。

もう一つ有名なシーン。吉良邸の絵図面を手に入れる為に岡野金右衛門(鶴田浩二)が、恋する大工の娘に手引きをしてもらう場面。相手が好き出あるが故に、忠義の為に利用するということの葛藤。娘も、父の平兵衛も金右衛門の心中を察してあげて潔く対処する。
とにかくみんな、“察して”くれる。これぞ忠臣蔵!

この平兵衛の娘(若尾文子)の名前がお鈴とある。お艶じゃないんだね。

討ち入りを果たし吉良邸を出た赤穂浪士が泉岳寺に行くため町を抜ける。大概はこのシーンで終わることが多いが、この映画では旗本の多門伝八郎が両国橋を止め、永代橋から渡ることを進める場面が入る。コレは珍しいね。

全体的にウエットで浪花節全開だ。忠臣蔵の持つ人情モノの醍醐味がダイレクトに味わえる作品だ。
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