Solo1968

しゃべれども しゃべれどものSolo1968のレビュー・感想・評価

4.1
 原作の文庫本を読み、本作の宣伝の帯にも気になり当時劇場にて鑑賞。
 原作と映画では珍しくもないが登場人物が少なくシナリオには多少のアレンジが成されているものの、ノベルで受けた味わいよりも大きく優しい じんわり感を存分に味わえ、大人になってからの、邦画作品では何よりも好きな作品。

 役者さん目当ての鑑賞でなく、原作の良さと、自分でもとても自然に納得できる当時の役者さんのキャスティング(今だと多分星野源ちゃんあたりになると思われる)。
 国分太一君演じる主役の性格や本業は人気アイドルグループ?とは言え、違和感なくどころか好意的に思えるほどの演技力もとても好感が持てた。
 モデルの香里奈さんも このキャラクターによく合い、仏頂面が作品中九割を占める役がハマっていた。終盤で見せる笑顔もそれだけにほっこりとさせられる。
 後に遅咲きブレイクとなりひっぱりダコとなる松重さんや、可愛らしさ溢れる関西弁の子役も抜群。また、太一君演じる主演と暮らす お婆ちゃんを演じる八千草薫さんの存在は抜群のスパイス!
(今生まれてきたら自分の母ちゃんが八千草薫さんだったら最高だと思う)。


舞台となる浅草、下町の風景全般がうっとりするほど美しい。
主人公の住まいや浅草のほおづき市、屋台 風鈴 もちろん寄席 風情が溢れ これを見ると毎回行きたくなる程。

後半の伊藤四郎扮する 師匠がぽつりと放った台詞

そして、香里奈扮する十河の演目

が大きな感動で、痺れる。

ラストの水上バスからの引きも本当に美しい。


エンディングのゆず による楽曲もとても作品と合っていてしっくりとくる。

バラエティー番組などでお茶の間で目にする機会の多い主演の国分太一君の唯一作品中 違和感を感じたのは ご本人も演目の暗記以上に苦労したという 右手でお箸を持ってざる蕎麦を食べるシーン。見ていてなんかぎこちないと思った途端に あ!彼って左利きだったはずだ、こりゃ大変だなあとその場で感じた^_^
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