ろく

しゃべれども しゃべれどものろくのレビュー・感想・評価

3.2
観ながら自分も火焔太鼓を唱えていたよ。そうそう、100両だ150両だ200両だ、あたしもそこで柱にすがった。

実は学生のころ落研に所属していたこともあり。落語ものにはなんとも甘い。しかも今回香里奈が演ずる火焔太鼓は持ちネタの一つ。あのね、映画鑑賞なんてもんは「私的」なものなんですよ。

原作も読んでいたけどかなり昔なんですっかりこんな話だっけでした。それでも落語を通して語るヒューマンドラマが嫌いではないですぜ。

ただ国分の落語がフラ(面白み)がなく全く落語家らしくないのは違和感。マジメ設定でそれでもいいのかもしれないけどどうも「あんたそれじゃ受けないわけだよ」と素人から突っ込んでおく。

そして香里奈ね。もうずっと仏頂面なのに可愛く見えるマジック。うん、いいよねえ。ほおずき市に浴衣で行くシーンも素敵。最後の最後まで笑わないのでそこも良かったよ。

子役では森永悠樹。子役に文句言うわけではないけど(その後大人になったけど)ちょい「饅頭怖い」がごめん何言っているかわからないです。子供ならではのかわいらしさで許す人もいるけど俺は許さないからな(心が狭い)。

さらに松重豊はいつもの松重だった。孤独のグルメより不満げでなんとも生活に疲れた松重に自分は共感。まあ同じ年くらいにはなったから余計かしらん。

物語として特に盛り上がるわけもないし、最後もベタでおいおいって突っ込んでしまいたくなるけど落語ものなので無条件加点。もう一度言うけど映画なんか「私的」なものだからな。

自分ができる落語は「首提灯」「看板のピン」「出来心」「火焔太鼓」「粗忽長屋」「芝浜」「短命」「厩火事」……懐かしい。不思議と人前でやらなくてもたまに諳んじている自分がいます(夜ひとりで歩いているときとか)。
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