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アラビアのロレンスのcamusonのレビュー・感想・評価

アラビアのロレンス(1962年製作の映画)
4.0
約3時間半の長編なので、2日に分けて鑑賞しました。

第一次世界大戦下の中東紅海周辺が舞台。
主役のイギリス軍人のロレンスは、軍事顧問としてアラブの部族を率い、
アラブの開放を名目に、オスマン帝国軍を襲撃し、着実に戦果を挙げていきます。

しかし、部下を亡くす失意の中でも、
人を殺すことに興奮を覚えている自分に戸惑いを感じるようになり、
これに、イギリス本国の方針(三枚舌外交)との齟齬や、
オスマン軍に捕まり、受けた拷問のトラウマなどが加わり、
精神がただれて、イっちゃった人になっていく様子を、
雄大かつ苛酷かつ清浄な砂漠を背景に、
異国情緒趣味を前面に出さない渋めの演出で描いています。


丁寧につくった良い映画だと思うのですが、
扱っている史実が複雑で、こちらが疎いということもあり、
3時間半と長い割りに、背景が読み取りづらく、
感情移入もしづらく、感動のしどころもわかりづらいんですよね。

たぶんスルメ的な味わいなのだとは思うのですが。

イメージしづらい一次大戦の中東戦線を知るきっかけとして、
イギリス側視点で脚色されているものの、有用な作品だと思います。


特典のメイキング&インタビューが面白かったです。
気温が高くフィルムに黒いシミができてしまうとか、
太陽を撮ろうとするとフィルムが焼けてしまうとか。

完全版の作成に奔走したスピルバーグが、まだ若々しくて、
本作の1ファンとして、目を爛々とさせて本作のすばらしさを語っていたのが
特に印象的でした。
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