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解散式のmitakosamaのレビュー・感想・評価

解散式(1967年製作の映画)
3.2
東映youtubeにて。鶴田浩二主演の任侠映画だが、舞台が公開年67時の現代劇だ。
50年以上前の作品とはいえヤクザ映画の現代劇に着流しのキャラクターってどうなのよ?が最初の印象だった。
だが、見続けるとナルホドなと感心した。

時代は暴力団追放に動いており、関東の大組織の組の解散式から始まる。それにより組織は分散し社会に潜り込んで生息していく。
よく言われることだが、大きい組織を潰せば末端の組織の地下化が進み余計に社会が荒廃するという論理だ。

そんな中、かつて殴り込みで服役していた沢木(鶴田浩二)が出所。かつて義理人情に生きたヤクザも、刑期を終えて戻ってきたら任侠のない社会になっている。
兄弟分の島村(渡辺文雄)はコンビナート建設利権を巡り暗躍。強引な地上げを行ったり、組の内部では強制買春が行われてたりする。そんな兄弟分にガッカリし、決別する沢木。

謂わば着流しを着る姿は、時代に取り残されたヤクザの象徴なのだ。鶴田浩二に決闘を挑む過去の因縁ある昔ながらのヤクザ(丹波哲郎)も着流しだ。
刑期を終えたことによるウラシマ効果。これは鶴田浩二らのヤクザ映画そのものを過去のものとしている。仁義無き戦いの五年前の作品だが、既にヤクザ映画の仁義は時代に葬り去られようとしてたってことだな。

むしろ敵役となる渡辺文雄がオイシイ。鶴田を義兄弟として大切に思いながらも、自らの野望の為に非情に撤しようとするのがタマラン。でもちょっとどこか躊躇いも感じさせるんだよね。コンビナート建設の大仕事に賭ける姿は現代ヤクザとしては極めて真っ当に見える。

鶴田浩二が主演なので彼に見せ場があるのは当然なのだが、ラストの殴り込みにより死ぬ姿は、古の任侠映画の最後のあだ花に見えて仕方ない。鶴田浩二に最後通告を告げる様な、ある意味とても残酷な映画だ。
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