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モーガン プロトタイプ L-9のtanayukiのレビュー・感想・評価

モーガン プロトタイプ L-9(2016年製作の映画)
3.9
BBC版「SHERLOCK」のシーズン4の最終話に出てきたホームズ家の末っ子ユーラスは、24時間監視付きのガラス張りの部屋に監禁されていたが、ああいう人権無視の極端な監視システムは、『羊たちの沈黙』のレクター博士のような知能犯か、『ブレードランナー2049』のアナ・ステリン博士のような、免疫不全のために無菌室でしか生きられない人にしか許されないだろうなと思ったら、もう一人いました。遺伝子エンジニアリングで生み出されたハイブリッド人造兵士、L-9プロジェクトの通称「モーガン」その人だ。(ところで、何と何のハイブリッドなんだろ???)

この映画の鬱々とした雰囲気は、親父のリドリー・スコットの怨念がこめられた『プロメテウス』に似て、個人的には決して嫌いじゃないんだけど、興収も批評家による評判もさんざんだったらしい。この映画が不幸だったのは、少し前に公開されたアレックス・ガーランド『エクス・マキナ』とコンセプトが似ているばかりか、独創的なビジュアルに完全に食われてしまった感が否めないところだけど、アニャ・テイラー=ジョイとケイト・マーラが、人間臭さを感じさせない肉体でバトルをくり広げるんだぜ? もっと評価されていい映画だと思う。

ちなみに、本作の冒頭で、ガラス張りの部屋にいるアニャ・テイラー=ジョイが独りでチェスをプレイしている映像が流れる。『クイーンズ・ギャンビット』の4年前のことだ。

△2023/11/09 Apple TV鑑賞。スコア3.9
△2019/01/03 iTunes登録。スコア3.8
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