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仮面/ペルソナのneroliのレビュー・感想・評価

仮面/ペルソナ(1967年製作の映画)
5.0
■人間の二面性を描いた映画🎬■
 
 
「仮面 / ペルソナ」は、『失声症』となった女優と、献身的に療養を見守る看護師の物語〜
 
看護師アルマとの交流により、女優エリザベートの『失声症』が治っていく過程〜
 
 
この映画は、よくユング派の精神分析で語られますが、私はユング派ではないので、違う書き方で考察します。
 
 
誰でも社会で生活している以上、「仮面」をかぶって生活をしています。
それは、外的な「仮面」。
 
しかし、もちろん、内的な心理も併せ持っています。
 

とある内的心理を疎ましく思うと、罪悪感に苦しむ。
 
その結果、「その疎ましい内的心理を思いたくない、言いたくない」という
『失声症』に陥った女優エリザベート。
 
 

■看護師アルマの心理的アプローチ■
 
 
看護師アルマの女優エリザベートへの関わりが、心理的、精神分析的な関わりすぎて、上手だな〜と思いました〜
 
「性」への無意識的なアプローチ、解釈。
 
看護師アルマの無意識の「性」体験を女優エリザベートへ語ることで、
「性」に対しての罪悪感を和らげていく…。

 
 
■女優エリザベートの本音■


女優エリザベートが語ることができない無意識であった本音。
それは、「妊娠し、息子を母親として愛し、育てること、を疎ましく思っていること。」
 
女優エリザベートは、女優の仮面を被り、美しく、みんなから賞賛されることへの仮面で生きる毎日であった。
 
そんな中、妊娠・子育ては女優にとって足枷になる行為なのかもしれない。
 
「子育ては女優業の足枷になる、と思ってはいけない」という思い。
そして、思うと罪悪感が出てくる。
そのことが、「失声症」を招いた。
 
 

■似ている二人は同一人物?■
 
 
看護師アルマと女優エリザベートは、心理的アプローチによって、
外的仮面(女優エリザベート)と内的葛藤(看護師アルマ)が混ざり合い、
『失声症』が改善〜
 
ベルイマン監督の映画でのアプローチが見事です〜✨



■実際の臨床でもあります〜■
 
 
映画の冒頭で、医師から「身体的、精神的に問題ない。」と看護師との療養を勧められますが〜
 
「失声症」は内科的に問題なかったら、精神の病気〜
(あれ?と思いました、汗)
 
おそらく、「何か非人間的な思い、行為」を言いたくないのです。
 
 
〜私の臨床の中のお話〜
小さい頃から父親に、美しいものやことばかり強要されて育った女性。
 
可愛い方で、仕事はブライダル関係のお仕事。
 
カッコイイ男性と結婚し、その後、子供を作ろうと、順風満帆の人生のように思えましたが…。
 
なかなか子供ができない、汗
 
妊婦さんを見て、「転ばせたい」という観念が頭に浮かび、そう思う自分に罪悪感を感じて抑うつ状態となり、受診した方を思い出しました〜
 
カウンセリングの適応ですね〜
 
 
 
■後世の映画に影響を与えた映画🎬■
 
 
✔︎ロバート・アルトマンの『三人の女』 
✔︎デヴィッド・フィンチャーの『ファイト・クラブ』
✔︎デヴィッド・リンチの『マルホランド・ドライブ』
✔︎フランソワ・オゾンの『スイミング・プール』
✔︎ダーレン・アロノフスキーの『ブラック・スワン』
✔︎ドゥニ・ヴィルヌーヴの『複製された男』
 
などなど
 
 
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