溶けていく
原因不明の失語症に陥った舞台女優エリザベートと、看護師のアルマは、療養のため2人きりでとある別荘で暮らし始める
冒頭から、不可思議な映像が差し込まれる。個人的には割とああいう表現がやや苦手なので、ちょっと面食らいました。
そのあとは、とにかく静謐な物語へと転換。話さないエリザベートと積極的に話すアルマ。話さないエリザベートと、自分語りをし始めるアルマ。話さないエリザベートと、エリザベートの話をするアルマ...??あれ??
対照的で、対照的だからこそ噛み合っていた2つの人格が、徐々に距離が縮まっていく中で、互いに溶け合って1つになっていく。なんて書くと、とっても難しい感じがするんですが、見ていて純粋にそういう気持ちになるんです。そういう一見高尚なテーマを画と女優の底力で見せるところがこの監督がすごいところなのかなあと思いました。
フィルムがぐちゃぐちゃ〜ってなったり、いろんな技巧があるおかげで、2人(2つの人格)が織りなす世界に没入しすぎ踏みとどまることができましたが、変に共感して見入ってしまうと、帰ってこれないような怖さも感じました。