えそじま

ロゴパグのえそじまのレビュー・感想・評価

ロゴパグ(1963年製作の映画)
3.8
皮肉か、或いは機知か。
世界の終わりを陽気な始まりで語る4つの物語。

ロッセリーニ、ゴダール、パゾリーニ、グレゴレッティと4人の監督が世に蔓延る醜悪を風刺的に描いたオムニバスコメディ。
タイトルのロゴパグは4人の頭文字を繋げたもので、この面々からしてある程度予想はついていたが、どれも難解で尖りまくっている。


第一話 「純白」 ロッセリーニ

美人CAに一目惚れした中年男が欲望に囚われ偏執性を剥き出しにしていく話。
スクリーンに映る幻にへばりつく姿は衝撃的に気色悪いが、性の欲望に翻弄され自制心を失った経験は誰にでもあるだろう。その時の自身の姿を客観的に思い返せば多くが滑稽でグロテスクな筈だ。
男という生物が持つ幼稚な内面を象徴している。

第二話 「新世界」 ゴダール

原爆によって少しずつ崩れて変容する日常を描いたゴダール流の近未来SF。
世界的な危機を前にしても現代人というものはそう簡単に変わらず、今まで通り失恋もするし新しい恋も生まれる。
今の時勢にも当て嵌まるタイムリーな作品。

第三話 「ラ・リコッタ」 パゾリーニ

あまりにも不謹慎という理由で公開当時はこの第三話のみイタリア当局に没収されており、なんとパゾリーニ自身も逮捕されている。

キリストの磔シーンを撮影する映画監督とその一行の受難を喜劇的に描いたブラックコメディで、真っ向からカトリックを小馬鹿にした問題作品。モノクロームに時折差し込まれる鮮烈なカラーと陽気なレトロ・イタリアンポップが楽しい。
パゾリーニ作品といえば宗教画ショットだが、本作ではロッソ・フィオレンティーノの『十字架降下』が引用されている。
「マンマ・ローマ(1962年)」の脚本(?)とエットレを演じた少年の姿を確認


第四話 「にわとり」 グレゴレッティ

大量生産&消費社会における平均的消費者の姿をにわとりに揶揄して皮肉った、これもブラックコメディ。
ジョージ・A・ロメロの「ゾンビ(1978年)」の方が遥かに面白い。
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