午後

ロゴパグの午後のレビュー・感想・評価

ロゴパグ(1963年製作の映画)
3.0
二つ目の、ゴダールの短編は、パリの上空に原爆が落ちるという近未来SFなのだが、世界から自由が失われても、出かける前に錠剤を飲むくらいで、街が少しヒストリックな調子を高めたとしても、彼女は変わらない。男は相変わらず節操のない嫉妬心に駆られ、恋人たちはすったもんだを繰り返す。なんだかタイムリーな物語に思えた。ゴダールが撮る団地?っぽい集合住宅が良い。

ひとつ目のロッセリーニの短編は客室乗務員の女性が無性の母性愛を求める愚かなストーカーにしつこく絡まれる話で、オチはおもしろいけどそれまでの過程のおっさんが気持ち悪くて可笑しさよりも怖さや不快感が勝ってしまう。

三つ目はパゾリーニ。犬が可愛い。めちゃくちゃブラック。貧しい人民よりも金持ちの犬の方が良いものを食べている。キリストの受難の映画の撮影現場で、捗らなすぎて暇を持て余したスタッフがやることがなくて花を摘み始めるシーンが好き。オーソン・ウェルズが不遜な太々しい監督を演じてるのが良い。
「死についてどう考えますか?」
「マルキスト達同様、考えたこともない」
「我らが偉大なフェリーニについてどう思いますか?」
「彼はダンサーだ」

最後はウーゴ・グレゴリッティという監督で、この人だけ知らなかった。大衆消費社会批判。

総じて風刺的な、毒気の含んだ現代社会批判風味のコメディとなっている。こうした作品は時代を隔てて観ると批判自体が陳腐なものに思えてちょっと退屈してしまう。地雷源を踏み抜いていくパゾリーニの潔さ。振り切った姿勢が一番面白い。
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