CINEMAと暮らす

ロゴパグのCINEMAと暮らすのネタバレレビュー・内容・結末

ロゴパグ(1963年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

豪華監督陣4名のオムニバス映画
(ウーゴ・グレゴレッティは正直、知らなかった)

『潔白』ロベルト・ロッセリーニ
彼氏が居るとは知らず一目惚れしたCAアンナマリーナにつきまとうアメリカ男
彼に諦めてもらうため、彼氏は弁護士?のアドバイスを鵜呑みにし、アンナマリーナを大胆にイメチェンさせる
結局、アメリカ男はイメチェン後のアンナマリーナをアバズレと切り捨て、理想化された彼女の映像に執着するという何とも人間らしいラスト

『新世界』ジャン=リュック・ゴダール
フランス上空で原爆が爆発したことをきっかけに恋人の倫理観が崩壊したように感じる男の話
彼女が自分を避けている理由が欲しくて、原爆にこじつけているようにも見える
理屈っぽい男を描いている

『意志薄弱な男』ピエル・パオロ・パゾリーニ
撮影待ちで空腹に耐えられないストラッチは撮影の僅かな合間を縫ってラコッタチーズを買いに行く。なかなか食事にありつけなかったストラッチだが、やっとのことで楽しみにしていたラコッタを食べ、満腹になる。そのまま、撮影に臨んだところ、磔にされたまま、絶命してしまっていた。

パゾリーニらしい、最後に人が死ぬラスト
今回は食欲に耐えられなかった男を描いていた
空腹の彼を弄ぶ周囲の人間の方がよっぽど、罪深いと思う…

そして、あのオーソン・ウェルズが監督役で登場するのにも驚いたが、自分の思想を彼のセリフに乗せて次々と毒づかせるのにも驚いた(『マンマ・ローマ』の脚本?を持たせているので、おそらくウェルズ=パゾリーニという解釈でよいと思う)

『にわとり』ウーゴ・グレゴレッティ
これが一番好みだった
戦後の復興期で人々の消費体系が変わり、テレビなどのマーケティングの力で営業を介さずとも、自然と消費者が購買行動をとってしまう。
好きな時に好きなだけ食べる地鶏が消費者のメタファーになっていると思いきや、ラストでレストランで食事する人間が全て鶏になる『千と千尋の神隠し』的描写で直喩に置き換わった
遊び心のあるアイロニックな作品だった