地面から初めてトライポッドが現れるシーン。子どもたちを守るのであれぱ、一目散に逃げ帰らなくてはいけないトム・クルーズは、何故、それが全貌を現すまで一部始終見続けていなくてはならなかったのか。
また、冒頭の奇怪な雷雲のシーンはたまらなく美しいが、ここでもトム・クルーズは危険を顧みず、空を見つめ続ける。
スピルバーグが心得ているのは映画の本質である。
それは端的に言えば、観客に何を思う存分見せて、何を全く見せないか。
更に、観客に全く見せなかったものを、どのタイミングで、どう見せるのか。
ダコタ・ファニングの前を死体が流れてゆく、あの有名なシーンが効いているのも、スピルバーグのそうした演出が全くブレないからだ。
